第16話|退職日の翌日 ― 私は空き家に向かった

退職までの半年間

退職日の翌日、
私は築50年の平屋に立っていた。

でも、この家に来たのは、今日が初めてではない。

実は――
退職を決意したあの日から、
半年かけて、少しずつ手入れをしてきた。


決意した日から始まっていた

「辞めよう」と心に決めた後に、空き家と出会い購入を決めた。

空き家との運命的な出会いはこちらです。

すぐに会社を辞めたわけではない。
半年間は、変わらず働き続けた。

その間、週末になると
私はこの家へ通った。

退職の日という終わりは日々近づいていったけど、
でも、退職後の暮らしの準備は、自分の中では確実に始まっていた。


最初にやったこと

畑込み150坪の土地は、
最初は草だらけだった。

鎌を持ち、
汗をかきながら、
黙々と草を刈った。

会社では常に時間に追われていたのに、
ここでは時間を忘れた。

土に触れるたび、
心のざわつきが少しずつ静かになっていった。

空き家購入時の様子はYouTubeでご覧いただけます。
初めて作った動画なのではっきり言って下手です(笑)
雰囲気だけでもわかっていただけると幸いです。


次に空き家の修繕

まずは、掃除。

長く空いていた家のほこりを払い、
窓を開け、風を通す。

劣化したカーペットをはがし、フローリングに変えた。
むき出しの窓にカーテンを付けた。
一つずつ、時間を戻すように整えていった。

一番最初にやったDIYはフローリング貼りでした。
私たちはDIY未経験者でしたが、ネットや動画を参考にさせていただいて、なんとか完成させました。
社会情勢の都合で、材料不足だったのも今ではいい思い出です。

完璧にリフォームしたわけではない。
DIY初心者なので、たくさん失敗してやり直しもあった。
「もう、これくらいでいいや」とあきらめたものもある。

ただ、「人が暮らせる空気」に戻した。
そして、自分たちの理想や暮らしに合った雰囲気や設備に近づいてきた。


会社員と、未来の私

平日は会社員。
週末は、未来の自分。

二つの顔を持ちながら過ごした半年。

正直、揺れた。
本当に辞めていいのか、と。

でも、この家に来るたびに思った。
「ここで生きたい」
その気持ちだけは、揺らがなかった。

ここに来ると、色々な悩みや苦しさを忘れて作業に没頭できる。
私たちが選んだ、私たちのための空間。
この空き家に私はずいぶん救われ、退職の決意を後押ししてくれた。


だから、退職日の翌日は特別だった

昨日までは「準備期間」。

そして今日からは、
「本当のスタート」。

半年間、通い続けた家が、
ようやく“私の場所”になった。

築50年の平屋。
海まで歩ける距離。
畑込み150坪。

ここを拠点に、私は新しい暮らしをつくる。

退職の辞令を貰い、挨拶をすませて車に乗った時、背中に翼が生えたような「自由」を感じた。
辞めたからと言って、何かが大きく変わったわけではないが、私の気持ちが、自由になった。

週末だけの空き家に毎日でも行ける。
行きたいときに行って、疲れた時は行かないという選択の自由がある。
自宅から60Km離れた私の活動の拠点となる場所。

今後は、この空き家とともに生きていく。

空き家を目の前にすると、気持ちが落ち着き、穏やかだがこれからの期待もあり、とてもすがすがしさも感じた。
「これからも、よろしくね」
心の中で空き家に向かってそうつぶやいた。

これからは、家族や実家に一人残った母を大事にしながら、後悔しない自分らしい生き方を模索していきたい。

退職前に準備していたことについては、こちらにまとめました。
退職までの半年間、今日の日を見据えて少しでも不安が軽減されるように準備しました。

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