家より先に、土を選んだ日
空き家を引き継いでから、数日が経った。
本来なら、家の掃除や修理から始めるのが普通なのかもしれない。生活を整えることが、最初の一歩だと思っていた。
けれど私は、庭の向こうに広がる畑を前にして立ち止まった。

手つかずの畑。草は伸び放題で、地面の様子すら見えない。どこから手をつければいいのか分からなかった。
それでも、野菜には植える時期がある。
そのタイミングを逃せば、また一年待たなければならない。
家の修理はあとからでもできる。けれど、土づくりは“今”しかできない。
そう気づいた瞬間、迷いは消えた。
家よりも先に、土を整える。
それが、この場所で最初にやるべきことだと直感した。
初めての草刈りと土の厳しさ

まずは草刈りから始めた。
草刈り機など触ったこともない。30年以上会社員として働いてきた私にとって、刃のついた機械は未知の存在だった。
今回使ったのは、主人が使っている電気式の草刈り機。
バッテリーを装着し、スイッチを入れる。
「ウィーン」という静かな音。それでも手元にはしっかりと振動が伝わる。
正直、少し怖かった。
それでも恐る恐る草に近づける。
シャッ、と軽い音。
次の瞬間、草がきれいに刈り取られていた。
「おお……」
思わず声が出た。
電気草刈り機とエンジン式草刈り機の違いについてまとめてみました。
興味がある方は是非参考にしてみてください。
順調に見えた作業だったが、問題は草の下にあった。

現れた地面は、想像以上に固かった。
鍬を振り下ろす。
ガン、と鈍い音。
まるで地面に拒まれているようだった。
2月だというのに汗がにじみ、腰には鈍い痛みが走る。
自然相手の作業は、思っていた以上に厳しかった。
限界を知り、続ける道を選ぶ
それでも意地になって作業を続けた。
けれど、思っていたようには進まない。
この広い畑で、一体私は何をしているのだろう、
全く進まない作業に絶望的な気分になった。
「こんなやり方では無理!」
悔しさはあった。
けれど同時に、分かったこともあった。
この畑づくりは、一日で終わるものではない。これから何年も続いていく暮らしの土台なのだ。
その夜、私は調べた。
動画やネットで検索して、皆さんがどのように畑づくりをしているのか参考にさせてもらった結果、ミニ耕うん機を使ってみることにした。
「ミニ耕うん機 レンタル」
思っていたよりも手頃な価格だった。
私は決めた。
道具を使おう。
以前の私は、「やればできる」と思っていた。
けれど今は違う。
大切なのは、続けられることだ。
畑を見渡した。
まだ何も完成していない。
それでも、最初に見た景色とは確実に違っていた。
今日、私は三つのことを得た。
草刈り機を動かせたこと。
土の厳しさを知ったこと。
そして、自分の限界を受け入れられたこと。
家より先に、土を選んだ日。
それは、見栄よりも現実を選び、根性よりも継続を選んだ日だった。
ミニ耕うん機で土を起こし、本当の意味での土づくりを始める。
体は疲れていた。
それでも心は不思議と満たされていた。
できないことを何とか乗り越え挑戦していくしかないと思った。
仕事のように、「やらされてる」「やらねば」感ではなく、私が自主的に「やりたい!」と思えてくる感覚がうれしかった。
この畑で、最初の芽が出る瞬間を見たい。
そのためなら頑張れる気がした。


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