第15話|レイズドベッドをあぜ板で作ると決めた日|捨てずに活かす畑づくり

📖 Ep3|畑づくり

草の山から始まったレイズドベッド作り

刈った草の山を前にして、私は立ち止まった。

捨てるのではなく、活かせないか。
そう考えたとき、思い浮かんだのが「レイズドベッド」だった。

地面を全面的に耕すのは、まだ難しい。
ならば、小さく区切って始めればいい。
今回、空き家を購入していなければ、「レイズドベッド」という言葉にも出会わなかっただろう。

まずは枠づくりから始めることにした。
ホームセンターで選んだのは、木材ではなく「あぜ板」だった。

ホームセンターコメリで購入 幅50cmを4枚@828円

コメリで購入した幅50cmのあぜ板を4枚使用。軽くて扱いやすく、土留めに向いている。
見た目よりも、今は機能性を優先した。

私が使ったような「あぜ板」はホームセンターでも購入できますが、ネットならサイズや高さの種類が多く、価格も比較しやすいので、購入前に一度見てみるのがおすすめです。

4枚のあぜ板をつなぎ合わせ、円形の枠を作る。

何もなかった畑に、ポツンと現れた小さな区画。
ただ囲っただけなのに、景色が少し変わった気がした。

そして、刈った草の行き先も決まった。
問題は、その中に入れる材料だった。
刈った草だけでは足りない。
どうせなら、しっかり分解が進む層を作りたい。

できるだけ、買わずに集めようと。
まずは実家の山で落ち葉を集めた。

そして、空き家近くの製材所へ向かった。

製材所に山積みされた杉の樹皮

思い切って声をかけてみると、予想外の返事が返ってきた。
「持っていっていいですよ。処分に困ってたんで」

軽トラいっぱいの杉の樹皮や木片。
それらは本来、捨てられるはずだったものだ。

さらに米ぬかも探した。
コイン精米機を4か所回り、ようやく「ご自由にどうぞ」の張り紙を見つけたときは、思わず心の中でガッツポーズをした。

レイズドベッド作成の様子を動画にしましたので、興味がある方は是非ご覧ください。


お金ではなく知恵で作る土

今回、ほとんどお金はかかっていない。
購入したのは、あぜ板と肥料くらいだ。

それ以外は、

  • 実家の山の落ち葉
  • 製材所の樹皮や木片
  • コイン精米機の米ぬか

すべて身近な場所から集めた。

不要になったものが、やがて土になっていく。
その流れを、自分の手でつなげている。
そんな感覚を初めて味わった。

そのとき、昨年亡くなった父の言葉を思い出した。
「カネを出すより、知恵を出せ」

会社員だった頃は、時間を優先していた。
足りないものがあれば買う。
それが当たり前だった。

けれど今は違う。
身近にあるものを活かしながら、少しずつ形にしていく。

時間はかかる。

それでも、その過程そのものが面白い。
一つ一つの行動、判断力が自分の経験値になって、私の生き方が豊かになっていっているような感覚だ。

もし父が見ていたら、
「なかなかいいじゃないか」
そう言ってくれる気がした。


土づくりと、これからの暮らし

完成したレイズドベッド。
けれど、中身はまだ土ではない。
草や落ち葉、木片が重なっているだけだ。

それでも、その中では確実に分解が始まっている。
目には見えない変化。

その時間が、やがて豊かな土を作っていく。
その姿は、今の自分にも少し重なる。

会社を辞めることを決意し、空き家と向き合い、畑づくりを始めた。

すぐに結果は出ない。
それでも経験は少しずつ積み重なっている。

そんな中、畑づくりを本格的に始めようとした矢先、母が圧迫骨折をした。
重い植木鉢を持ち上げた瞬間、激痛が走ったという。
畑、空き家、そしてこれからの仕事。
そこに母のサポートも加わり、日々は少し慌ただしくなった。

計画通りには進まない。
けれど、焦る必要はないと思った。
時間はまだある。

私は、家族も大切にしながら、自分のやりたいことにも向き合う生き方を選んだ。

まずは母を手伝う。
そして、できるときに畑を進めていく。

レイズドベッドの中では、今も静かに変化が続いている。
時間が、それを土へと変えていく。

そして私自身もまた、少しずつ変わっていくのだと思う。

あぜ板で囲まれた小さな区画。
そこは土を作る場所であり、自分の再出発の象徴でもある。
草の処分に困った日から、ここまで来た。

捨てなくてよかった。
それは草のことだけではない。

これまで積み重ねてきた経験も同じだ。

今はまだ途中。
けれど、いつかこの場所に豊かな土ができるように。
そして、その土で育った野菜を収穫できるように。

焦らず、一歩ずつ進んでいこうと思う。

このあぜ板で作ったレイズドベッドでできた腐葉土は、木製のレイズドベッドで野菜を育てるために使います。
木製レイズドベッドの作成はこちらにまとめています。

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