空き家を購入し、庭で家庭菜園を始めることにした。
もともと畑仕事の経験はほとんどない。
野菜作りについても、正直なところ何から始めればいいのかよく分からない状態だった。
そんな話を母にすると、しばらくして一冊の本を持ってきた。
それがこの本だ。

「家庭菜園大百科」
25年前に出版された本だ。
母は「これ、あげるよ」と言って、何気なく私に渡してきた。
ページをめくると、トマトやナス、きゅうりなど、いろいろな野菜の育て方が詳しく書かれている。
種まきの時期、土作り、病害虫の対策まで、家庭菜園に必要なことが一通り載っている本だった。
その本を見ながら、ふと母が昔話していたことを思い出した。
「野菜作りはね、天気に合わせたやり方で出来が全然違うから毎日が勉強」
「去年良かったから、今年も・・・というわけじゃないしね」
母は農家に嫁いだ。
もともと農家で育ったわけではない。
だから最初は、分からないことばかりだったはずだ。
ある時、こんな話も聞いたことがある。
台風が来て、せっかく植えた野菜が全部だめになってしまったこと。
収穫間際の野菜を、鹿や猪に食べられてしまったこと。
苦労して育てた野菜が、あっという間に無駄になってしまうこともあるという。
ある日、もうすぐ収穫時期となるスイカを見に行ったら、「ムジナ」という小動物に全部めちゃくちゃにされてしまったことがあった。
母は、スイカが子供のころからの大好物で、毎日大きく育っていくスイカを楽しみにしていた。
その時の落ち込みようは、はたから見てもはっきりわかるほどだった。
それでも母はこう言っていた。
「かなり落ち込んだけど、気持ちを切り替えないと畑は続けられない」
「それでも、畑仕事は楽しいからやめられない」
どうしてだめだったのか。
次はどう対策すればいいのか。
そうやって考えながら、少しずつ前に進んでいくのだと。
今、私は空き家の庭で畑を作ろうとしている。
母が昔そうだったように、私も本を読みながら、手探りで野菜作りを始めようとしている。
そう思うと、この一冊の本が少し特別なものに思えてきた。
野菜作りは簡単ではないと思う。
天候にも左右されるし、虫や動物の被害もある。
思うように育たないことも、きっとたくさんあるだろう。
せっかく大きくなったトマトが何者かに食べられた様子
トマトを食べた犯人は誰?
それでも、母が言っていたように、野菜作りは毎日が勉強なのだと思う。
失敗したら、次はどうするか考える。
うまくいかなかったら、また別の方法を試してみる。
うまく行ったら、原因を分析し、次に生かす。
そんなことを繰り返しながら、少しずつ自分の畑を作っていけたらいい。
母がくれたこの本を参考にしながら、まずはできるところから始めてみようと思う。
家庭菜園の第一歩は、この一冊の本から始まった。
初めての自分の畑で、主人と四苦八苦しながら、そして楽しみながら取り組んでいます。
素人なりの失敗も、いい加減さもたくさんありますが、まずはやってみて、続けていくうちに改良する点が見えてくるのかな、と思っています。
失敗を含めて記録していきます。


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