海が好きになったのは、父の影響だった。
子どもの頃、父はよく海釣りに連れて行ってくれた。
防波堤の先で、黙って海を眺めながら竿を出す。
大きな会話はなくても、波の音を聞きながら父と過ごす時間が好きだった。
釣りの楽しさを教えてくれた父と行った最後の釣りの様子を書きました。
釣れた魚をクーラーボックスに入れて、家に帰る。
父が自分で魚を捌き、家族で食べる。
今思えば、何気ない普通の一日だった。
でも、その時間が、私の中にずっと残っている。
大人になってからも、釣りは続けていた。
忙しい仕事の合間に海へ行き、数時間だけ竿を出す。
それだけでも、心が落ち着いた。
海は、不思議な場所だと思う。
眺めているだけで、頭の中が静かになっていく。
そんな海を見ながら、いつも思っていたことがある。
「いつか、自分の船が欲しい」
防波堤からではなく、海の上から釣りをしてみたい。
自分の好きな場所へ行き、好きな時間に竿を出す。
そんなことを、ぼんやりと考えていた。
そして3年前。
私は小型船舶免許2級を取ることにした。
特別なきっかけがあったわけではない。
ただ、「いつか」と思っていたことを、少しだけ前に進めてみたかった。
船舶免許の教習では、操船の練習や海のルールを学ぶ。
船の扱い方、ロープワーク、海上の優先ルール。
知らないことばかりだったが、どれも新鮮だった。
久しぶりに「新しいことを学ぶ」という感覚だった。
船舶免許を取った費用や日数などについては、こちらを参考にしてください。
仕事のための勉強ではなく、
誰かに言われたわけでもない。
ただ、自分がやりたいから学ぶ。
それだけのことなのに、どこか楽しかった。
「いつか自分の船で海に出たい」
そう思ったことが、私が船舶免許を取ったきっかけでした。
50代になってからでも、新しく始められることはまだまだあります。
船に興味がある方は、まずはどんな免許が必要なのか、取得までにどれくらいかかるのかを調べてみるところから始めてみてください。
▼船舶免許について詳しく見てみる
試験の日は、少しだけ緊張した。
でも無事に合格し、小型船舶免許2級を手にした。
免許証を受け取ったとき、ふと思った。
「本当に船を買う日が来るのだろうか」
そのときは、まだ想像できなかった。
仕事は忙しく、毎日があっという間に過ぎていった。
海へ行く時間も、思うほど取れなかった。
でも、不思議なことに、
船舶免許を取ってから海を見る気持ちは少し変わった。
防波堤から海を眺めながら、
「この先に行けるんだな」
そんなことを思うようになった。
海は、前より少しだけ広く感じた。
そして今、私は海の近くの古い空き家平屋に通っている。
築50年の空き家。
庭があり、畑があり、海まで歩いて行ける距離だ。
空き家との運命的な出会いを書きました。
興味がある方は、是非ご覧ください。
空き家の内外観については、動画でご視聴ください。
この家に初めて来た日、
庭に立って海の方を見たとき、ふと思った。
「ここなら、いつか船を持つ暮らしもできるかもしれない」
もちろん、すぐに船を買う予定はない。
船は維持費もかかるし、簡単なものではない。
それでも、海の近くにいると、
昔思い描いていた夢が、少しだけ現実に近づいた気がする。
自宅から空き家までの道のりでは、とてもきれいな海が見えます。
この海を見ると、心が落ち着きます。
父が好きだった海。
子どもの頃、父と一緒に眺めていた海。
もし父が今も元気だったら、
一緒に船で釣りに行けただろうか。
そんなことを、時々考える。
人生は、思っていた通りには進まないことが多い。
でも、小さな夢を一つずつ持っていると、
毎日は少しだけ楽しくなる気がする。
船舶免許2級は、まだ使う予定のない免許かもしれない。
でも、私にとっては
「いつか海に出るかもしれない未来」
を持たせてくれた、大切な一枚だ。
そしてもし、いつか本当に船を持つ日が来たら。
そのときはきっと、
父のことを思い出しながら、静かな海へ出ていくのだと思う。



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