退職を決めたのは、50代に入ってからだった。
このまま同じ働き方を続けていいのか。
そんな思いが、少しずつ大きくなっていった。
仕事に大きな不満があったわけではない。
だが、これからの時間の使い方を考えたとき、
このままでいいのかという気持ちが、心のどこかに残り続けていた。
「よその暮らし」という言葉が、ふと頭に浮かぶことがあった。
今いる場所とは少し違う、
もうひとつの生き方のようなもの。
まだ形は見えていなかったが、
どこかに、自分に合った暮らし方がある気がしていた。
自由に暮らしたい。
そう思ったのが、すべての始まりだった。
ただ、そのときの私は、
「自由」がどういうものか、はっきりとは分かっていなかった。
その答えは、このあと起こる出来事の中で、
少しずつ見えてくることになる。
これから書くのは、会社をやめると決めた“あと”に起きた出来事です。
すべては、決断してから始まった。
当時の私は、すでに共働きをやめると決めていた。
ただ、そのあとに起きた出来事が、その決断をここまで強く後押しすることになるとは思っていなかった。
振り返ってみると、この半年は、ただ時間が過ぎていったわけではなかった。
ひとつひとつの出来事が、自分の考え方や感じ方を少しずつ変えていった。
空き家との出会い
最初に心が動いたのは、空き家との出会いだった。
縁があって手に入れたその場所は、
これまでの生活とはまったく違う空気が流れていた。
静かで、ゆっくりで、どこか懐かしい。
玄関を開けた瞬間、言葉にできない安心感のようなものを感じた。
決してきれいな状態ではなかった。
庭には雑草が伸び、室内も手を入れる必要がある状態だった。
▶ 空き家との出会いや購入までの経緯は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
40万円の空き家と、はじまりの一歩
それでも、「ここで何かを始めたい」と自然に思えた。
土に触れ、自分の手で何かを作る。
ただそれだけのことが、不思議と心を落ち着かせてくれた。
それまでの生活では感じることのなかった感覚だった。
自分の時間というもの
それまでは、毎日が慌ただしく過ぎていった。
仕事に行き、家に帰り、家のことをして一日が終わる。
気がつけば一日が終わっている、そんな生活だった。
空き家で過ごす時間は、その流れとはまったく違っていた。
急ぐ必要もなく、
自分のペースで考え、自分の手を動かす。
その時間は、「自分のために使う時間」だった。
これまで、そんな時間をほとんど持てていなかったことにも気づかされた。
現実を突きつけられた出来事
そんな中で起きたのが、キャンピングカーでの事故だった。
高速道路でタイヤがバーストし、
複数台が絡む事故になった。
事故の内容については、こちらにまとめています。
▶高速道路のトンネルでタイヤがバースト。キャンピングカーで3台の玉突き事故になった日
幸い大きな怪我はなかったが、
ほんの少し状況が違っていれば、大きな事故になっていたかもしれない。
そのとき強く思った。
「今の生活は、決して当たり前ではない」
普段は意識することのないことだったが、
その現実を突きつけられた瞬間だった。
家族の出来事
その後、母が圧迫骨折で動けなくなった。
これまで元気に過ごしていた母が、
ある日を境に、思うように体を動かせなくなる。
その姿を見て、
時間には限りがあるということを、より強く実感した。
家族との時間も、
いつまでも続くものではない。
そう思うようになった。
つながっていった出来事
空き家で感じた時間。
事故で感じた現実。
母の出来事で感じた家族の大切さ。
それぞれは別々の出来事だったが、
どこかでつながっているように感じていた。
そして、そのすべてが、
自分の中にあった決断を支えるものになっていった。
決断は間違っていなかった
この半年を通して、何度も自分に問いかけた。
「本当にこの選択でよかったのか」
その答えは、少しずつ変わっていった。
迷いから始まった決断は、
確信に近いものへと変わっていった。
「やめると決めてよかった」
そう思えるようになっていた。
あの頃はまだ、「自由」の意味を言葉にすることはできなかった。
だが、何かを変えようとしていたのだけは確かだった。
そして私は、次の一歩を踏み出すことになる。
▶ 畑づくりや家庭菜園の様子は、こちらの記事で紹介しています
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