支え合ってきた共働き生活
特別な出来事があったわけではない。
ただ、これまで積み重なってきたものが、
ふとした瞬間に限界を超えた、そんな感覚だった。
共働きの生活は、決して楽ではなかった。
それでも続けてこられたのは、
夫と協力しながら生活を回してきたからだと思っている。
家事も育児も、どちらか一方ではなく、
一緒にやってきた。
忙しい毎日ではあったが、
その中で、お互いを思いやる時間があった。
そして、共働きという形だったからこそ、
お互いを尊重し合う関係が築けていたように思う。
そういう意味では、
共働きでよかったと、今でも思っている。
しかし、そんな日々の中でも、
心の奥にあった違和感は消えなかった。
むしろ忙しさの中で、
少しずつ大きくなっていった。
仕事そのものに対しても、
以前のように前向きに向き合えなくなっていた。
自分なりに責任を持って取り組んできたつもりだったが、
気づけば、その重さを一人で抱え込む場面が増えていた。
どうすることもできない状況の中で、
無理をしてしまうことも多かった。
その状態が続くうちに、
心は少しずつ疲れていった。
50代で考えたこれからの生き方
そんな中で強く感じるようになったのが、
これからの生き方についてだった。
50代になり、
このまま同じ働き方を続けていくのか。
それとも、
まだ元気に動けるうちに、
自分の時間を大切にした生き方を選ぶのか。
正直に言えば、迷いはあった。
ここまで続けてきたことを手放すこと。
頑張ってきた時間を終わらせること。
簡単に決められることではなかった。
それでも心のどこかで感じていた。
「このまま続けたら、きっと後悔する」
その思いは、日に日に大きくなっていった。
夫に伝えた日、そして決意
迷いながらも、自分の気持ちを夫に話した。
「この働き方を続けることに、少し疲れてしまった」
しばらく沈黙があったあと、
夫は静かにこう言った。
「後悔しないか?」
その言葉に、すぐには答えられなかった。
反対されているわけではなく、
本気で心配してくれていることが伝わってきたからだった。
これまで私が仕事に向き合ってきた姿を、
誰よりも近くで見てきた人だった。
迷いながらも、自分の中でひとつの答えを出した。
その気持ちを伝えたとき、
夫は少しだけ間をおいて、こう言った。
「本当に決めたんだね」
その言葉は、強く背中を押すものではなかったけれど、
静かに受け止めてくれるような響きだった。
無理に引き止めることもなく、
否定することもない。
ただ、私の気持ちをそのまま受け取ってくれた。
そのとき感じたのは、
これから先も、この人は私の選択を尊重しながら、
一緒に進んでくれるだろうという安心感だった。
ひとりで決めたようでいて、
ひとりではなかった。
そう思えたことが、とても心強かった。
あの日、私は共働きをやめると決意した。
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